「あ、クレンジングが切れてた……」
「旅行に持ってくるのを忘れた……」
そんな絶体絶命のピンチに、ふと鏡台の隅にある乳液が目に入ったことはありませんか?実は、乳液はクレンジングの代わりとして使うことができるんです。
でも、ちょっと待ってください。乳液はあくまで「保湿」のためのもの。正しいやり方を知らずに適当に洗ってしまうと、メイクが肌に残って肌荒れしたり、逆にベタつきすぎてニキビができたりといったトラブルを招くこともあります。
今回は、クレンジングがない時に役立つ「乳液でのメイク落とし」について、その仕組みから正しい手順、そして注意すべき「落とせるメイクの限界」まで、美容の現場でも使われる知識を交えて分かりやすく解説します。
なぜ乳液がクレンジングの代わりになるの?
そもそも、なぜ本来「与える」ための乳液で「落とす」ことができるのでしょうか。その秘密は、乳液の中に含まれている成分のバランスにあります。
多くのメイク用品は「油性」の成分で作られています。油汚れを落とすには、同じく「油」で馴染ませるのが一番効率的。乳液には肌を柔らかくするための適度な油分(エモリエント成分)が含まれているため、それがメイクの油分と混ざり合い、浮かせてくれるのです。
さらに、乳液には水と油を混ぜ合わせるための「界面活性剤」もわずかに配合されています。これが、浮き上がった汚れを包み込み、肌から離れやすくするサポートをしてくれるというわけです。
ただし、専用のクレンジング剤に比べると、その洗浄力は非常にマイルド。あくまで「一時的な代用」として考えるのが、美肌を保つ秘訣ですよ。
乳液クレンジングで落とせるメイクの「限界ライン」
乳液で何でもかんでも落ちると思ったら大間違いです。ここを勘違いすると、翌朝の肌を見て後悔することになるかもしれません。乳液で落とせるものと、そうでないものの境界線をしっかり把握しておきましょう。
落とせるもの
- 石鹸で落ちるタイプのコスメ
- 薄付きのパウダーファンデーション
- 日焼け止め(ウォータープルーフでないもの)
- お湯落ちタイプのマスカラやアイライナー
- 色付きリップ程度の軽い口紅
落とすのが難しいもの
- ウォータープルーフ処方のマスカラ・アイライナー
- 密着力の高いリキッドファンデーションやコンシーラー
- 落ちにくいティントタイプのリップ
- ラメがぎっしり入ったアイシャドウ
もし、バッチリ気合を入れたフルメイクをしている日にクレンジングを切らしてしまったら、乳液だけで無理に落とそうとするのは危険です。なぜなら、落ちにくいメイクを乳液で落とそうとすると、無意識に指に力が入り、肌を強くこすってしまうからです。
失敗しない!乳液クレンジングの正しいやり方
「乳液で落とす」といっても、いつものように顔に塗って流すだけでは不十分です。肌への負担を最小限にしつつ、汚れをしっかり浮き上がらせるためのステップを確認していきましょう。
ステップ1:ポイントメイクは「綿棒」で攻略
まず、一番落ちにくい目元や口元から取りかかります。
綿棒の先にたっぷりと乳液を含ませ、優しくなぞるようにメイクを拭き取ってください。広い範囲をいきなり馴染ませようとすると、目の周りがパンダのように真っ黒になり、さらに肌を擦る原因になってしまいます。
ステップ2:500円玉大以上の「たっぷり」の量を使う
ここが一番のポイントです。ケチってはいけません。
いつものスキンケアで使う量の3〜4倍、手のひらから溢れそうなくらいの量(500円玉大以上)を手に取ります。量が少ないと、指と肌の間に摩擦が起き、バリア機能を壊してしまいます。「乳液の厚みで洗う」イメージを持ってください。
ステップ3:手のひらで温めてから馴染ませる
冷たいままの乳液よりも、人肌程度に温まった乳液の方がメイクの油分と馴染みやすくなります。手のひらを合わせて少し温めてから、顔全体に広げましょう。
ステップ4:内側から外側へ、指の腹でクルクル
指先に力を入れず、指の腹を使って優しく円を描くように馴染ませます。しばらくすると、重かった指先の感覚がフッと軽くなる瞬間があります。これがメイクが浮いた合図です。時間は1分から2分程度。あまり長くやりすぎると、浮いた汚れがまた肌に密着してしまうので注意しましょう。
ステップ5:濡らしたコットンで優しくオフ
ここも重要です。乳液はクレンジング剤のように「水でバシャバシャ流せばすぐ落ちる」ようには作られていません。
乾いたティッシュで拭くと肌を傷つけるので、水で濡らして固く絞ったコットンを使い、肌を優しく押さえるようにして汚れを吸い取ります。
ステップ6:必ず洗顔料で「ダブル洗顔」を
乳液にはメイク汚れを含んだ油分が残っています。これが肌に残るとニキビや毛穴詰まりの原因になります。最後は必ず洗顔料をしっかり泡立てて、余分な油分を洗い流しましょう。
乳液クレンジングのメリットとデメリットを知る
代用術として便利な乳液クレンジングですが、良い面ばかりではありません。自分の肌質に合わせて判断しましょう。
メリット:とにかく乾燥しない!
最大のメリットは、洗い上がりのしっとり感です。
クレンジング剤は汚れを落とす力が強い分、肌に必要な皮脂まで奪ってしまうことがありますが、乳液はもともと保湿成分がベース。乾燥肌の人にとっては、むしろ肌の調子が良くなることもあります。また、旅行先や緊急時にコンビニへ走らなくて済むのも大きな利点ですね。
デメリット:毛穴トラブルのリスク
乳液の油分は肌に「残る」ように設計されています。クレンジング専用品ほど水に溶けやすくないため、洗顔が不十分だと毛穴の中に古い油分が残り、酸化して黒ずみや角栓の原因になることがあります。オイリー肌の人や、ニキビができやすい人は特に注意が必要です。
乳液クレンジングに向いているシーン
「クレンジングがないから」という理由以外でも、乳液でのメイク落としが活躍する場面があります。
1. 朝の洗顔代わりとして
「朝、顔を洗うとつっぱるけれど、水だけだと皮脂が気になる」という時、乳液を薄く馴染ませてから拭き取る「乳液洗顔」は非常に有効です。寝ている間の余分な皮脂だけを優しく落とし、水分と油分のバランスを整えてくれます。
2. メイク直しのレスキュー隊
夕方、パンダ目になってしまった時や、リップラインを修正したい時。
綿棒に乳液を含ませてサッとなぞるだけで、ファンデーションの層を崩しすぎることなく、ピンポイントで綺麗に修正できます。そのまま保湿もされるので、上からメイクを重ねても粉吹きしにくくなります。
3. 肌が敏感に傾いている時
季節の変わり目などで、いつものクレンジングがヒリヒリ感じる時がありますよね。そんな時は、洗浄力の強いオイルクレンジングを休み、マイルドな乳液で優しくオフすることで、肌の回復を待つことができます。
おすすめの乳液タイプと注意点
代用として使うなら、どんな乳液でも良いわけではありません。
おすすめなのは、ハトムギ浸透乳液やなめらか本舗 乳液のような、大容量でシンプルな保湿成分のものです。
逆に、高価な美容成分がたっぷり入ったエイジングケア用の乳液や、美白有効成分が高濃度で配合されているものは避けましょう。これらはクレンジングとして多量に使うと、特定の成分が肌に刺激を与えてしまう可能性があります。また、香料が強いものも、長時間馴染ませるクレンジング代わりには向きません。
乳液クレンジング代わり!正しいやり方と落とせるメイクの限界:まとめ
最後に、大切なポイントをおさらいしましょう。
- 乳液が代わりになるのは「油分」が含まれているから。
- ただし、ウォータープルーフなどの「濃いメイク」は落としきれない。
- 使う時は、ケチらずに「たっぷり」の量で摩擦を防ぐ。
- 最後は必ず「洗顔料」でダブル洗顔を行い、油分を肌に残さない。
乳液クレンジングは、正しく行えば肌をいたわる優しいケアになりますが、無理に濃いメイクを落とそうとすれば肌を痛める凶器にもなります。
「今日はナチュラルメイクだから乳液で優しく落とそう」「しっかりメイクだから、やっぱりクレンジングを買いに行こう」といった具合に、メイクの濃さに合わせた使い分けを心がけてくださいね。
もし、緊急で乳液が必要になったり、肌に優しい乳液を探しているなら、乳液のラインナップから、自分の肌に合ったものを見つけておくと安心ですよ。
正しい知識を持って、トラブル知らずの健やかな肌を守っていきましょう!

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