せっかく健康やリフレッシュのためにプールへ行ったのに、帰宅してから肌がカサカサしたり、なんだかピリピリ痒くなったりした経験はありませんか?「運動した満足感はあるけれど、肌のコンディションが最悪……」となっては、せっかくの習慣もモチベーションが下がってしまいますよね。
実は、プールの水に含まれる成分と私たちの肌の相性には、切っても切れない「乾燥のメカニズム」が隠れています。
今回は、なぜプールに入ると肌が荒れてしまうのか、その根本的な原因から、泳ぐ前・泳いだ後に実践すべき具体的なスキンケア対策までを詳しくお届けします。これを知っておけば、肌の弱さを理由に水泳を諦める必要はなくなりますよ。
なぜプールの後は肌が突っ張るの?主な原因は「塩素」による酸化作用
プールから上がった後、肌が異常に突っ張ったり、粉を吹いたように白くなったりするのは気のせいではありません。その最大の原因は、水の衛生状態を保つために欠かせない「塩素」にあります。
日本の公衆浴場法や学校保健安全法では、プールの水に含まれる「遊離残留塩素」の濃度が一定以上に保たれるよう定められています。これがあるおかげで、私たちは感染症のリスクを抑えて安全に泳ぐことができるのですが、一方で塩素には非常に強い「酸化作用」があるのです。
皮脂膜という天然のバリアが奪われる
私たちの肌の表面には、汗と皮脂が混ざり合ってできた「皮脂膜」という天然のバリアが存在します。この膜が、内部の水分蒸発を防ぎ、外部の刺激から肌を守ってくれています。
しかし、塩素はこのタンパク質でできたバリアを酸化させ、破壊してしまいます。長時間プールの水に浸かっているということは、いわば薄い漂白剤の中に肌を晒しているようなもの。バリアを失った肌からはどんどん水分が逃げ出し、結果として深刻な乾燥を引き起こします。
「結合塩素」による独特の刺激
プールの脱衣所などで感じる、あのツンとした独特の臭い。実はあれ、純粋な塩素の匂いではないことをご存知でしょうか。
汗や皮脂、尿などの有機物と塩素が反応して生成される「クロラミン(結合塩素)」という物質の臭いなのです。このクロラミンは、純粋な塩素よりも肌や粘膜への刺激が強いと言われています。目が赤くなったり、喉がいがいがしたりするのと同様に、皮膚の表面でも目に見えない微細な炎症を引き起こしているのです。
肌を守るための新常識!プールに入る前の「仕込み」スキンケア
「肌荒れ対策は泳いだ後から」と考えている方が多いですが、実は「入る前」の準備で勝負の半分が決まります。肌へのダメージを最小限に食い止めるための、2つのポイントを意識してみましょう。
1. 真水のシャワーで肌を「満水」状態にする
プールに入る直前、必ずシャワーを浴びますよね。これを単なるマナーとしてではなく、防衛策として捉えてください。
乾いた状態の肌や髪は、スポンジのように周囲の水分を吸収しやすい状態にあります。乾いたままプールの水に飛び込むと、塩素をたっぷり含んだ水がダイレクトに角質層へ染み込んでしまいます。
入水前にたっぷりと真水のシャワーを浴び、肌と髪を真水で飽和させておきましょう。これだけで、塩素が入り込む隙間を物理的に減らすことができます。
2. 撥水バリアで物理的にガードする
特に乾燥しやすい目元や口元、あるいはアトピー体質で皮膚が薄い部分は、あらかじめ保護膜を作っておくのが有効です。
ここで活躍するのがワセリンです。ワセリンは油分でできており、水を弾く力が非常に強いのが特徴です。薄く伸ばして塗っておくだけで、プールの水が直接肌に触れるのを防ぐ「防護壁」の役割を果たしてくれます。
ただし、施設によってはサンオイルや過度な油分の持ち込みを禁止している場所もあります。周囲の迷惑にならないよう、ベタベタに塗るのではなく、あくまで気になる部分に薄く馴染ませる程度に留めましょう。
泳いだ直後が運命の分かれ道!残留塩素をリセットする洗浄術
プールから上がった瞬間から、肌の乾燥レースはスタートしています。ここでいかに素早く、かつ丁寧に「塩素をリセット」できるかが、翌日の肌コンディションを左右します。
ぬるま湯で「物理的に」洗い流す
シャワーを浴びる際、温度設定には注意が必要です。熱すぎるお湯は、塩素で弱った肌からさらに必要な油分を奪い去ってしまいます。理想は38度前後のぬるま湯。
まずは石鹸を使わずに、全身を丁寧に洗い流しましょう。髪の毛の生え際や耳の後ろ、脇、膝の裏などは塩素が残りやすいポイントです。指の腹を使って、優しく撫でるように時間をかけて流してください。
塩素を化学的に中和する「ビタミンC」の力
実は、シャワーだけでは完全に落ちきらない残留塩素が存在します。これを化学的に無害化してくれる救世主が「ビタミンC」です。
ビタミンCには塩素を中和する還元作用があります。市販のビタミンC配合スプレーを利用したり、スプレーボトルに精製水と少量のビタミンC粉末を溶かした自作ミストを用意したりするのも手です。
シャワー後に全身へシュシュっと吹きかけるだけで、肌に残ったわずかな塩素を無効化できます。これを行うだけで、あの嫌な塩素臭や後の痒みが劇的に軽減されるはずです。
洗浄力の強すぎる石鹸は避ける
プールの後は「汚れをしっかり落とさなきゃ」とゴシゴシ洗いたくなりますが、これは逆効果です。塩素によって角質層がボロボロになっている状態で強い界面活性剤を使うと、トドメを刺すことになりかねません。
理想は、アミノ酸系などの洗浄力がマイルドなボディソープをしっかり泡立て、手で優しく洗うこと。ナイロンタオルで擦るのは厳禁です。
帰宅までの「仮保湿」と自宅での「本保湿」の2段構え
プールサイドの更衣室は、意外と乾燥しています。また、着替えや身支度に時間がかかると、その間に肌の水分はどんどん失われていきます。
更衣室での「とりあえず保湿」
着替える前に、まずはスプレータイプの化粧水や導入液で全身に潤いを与えましょう。この段階では完璧を目指す必要はありません。服を着るまでの間の乾燥を防ぐ「仮のフタ」をすることが目的です。
アベンヌ ウオーターのようなミスト化粧水は、荷物にならず手軽に全身ケアができるのでおすすめです。
自宅での「バリア修復ケア」
本当のケアは、落ち着ける自宅に帰ってから。失われたバリア機能を補う成分が含まれたスキンケア用品を選びましょう。
- セラミド:角質層の細胞間脂質を補い、水分を保持する力を高めます。
- ヘパリン類似物質:高い保湿力があり、乾燥による炎症を抑えます。
- スクワラン:皮脂の代わりとなって肌表面に膜を作ります。
これらの成分が入ったミルクやクリームを、いつもより多めに、優しくプレスするように馴染ませてください。
髪の毛のキシキシを防ぐためのプラスアルファ
肌荒れと同様に悩ましいのが、髪の毛のダメージですよね。髪もタンパク質でできているため、塩素の影響を強く受けます。
髪を守る最大のポイントは「シリコンキャップ」の活用です。メッシュキャップは水を通しやすいため、髪がずっとプールの水に浸かっている状態になります。シリコン製であれば水の侵入を最小限に抑えられます。
もしメッシュキャップを使う場合は、あらかじめ髪を真水で濡らした後、ヘアオイルを薄く塗ってからキャップを被ると、油分が水を弾いてダメージを軽減してくれます。
上がった後は、髪専用の残留塩素除去シャンプーを使用するか、肌と同様にビタミンC入りのコンディショナーで中和することを心がけてください。
もし強い痒みや赤みが出てしまったら?
どれだけ対策をしても、体調やプールの水質によっては、肌トラブルが起きてしまうことがあります。
応急処置は「冷やす」こと
痒みがあるときは、決して掻かないでください。掻くことでバリア機能がさらに破壊され、炎症が悪化する悪循環に陥ります。清潔なタオルを冷水で絞り、痒い部分に当てて冷やすことで、神経の興奮を鎮めましょう。
医療機関を受診する目安
以下のような症状が出た場合は、セルフケアの範囲を超えています。早めに皮膚科を受診しましょう。
- 水ぶくれができている。
- 範囲が全身に広がっている。
- 冷やしても痒みが引かず、眠れない。
- 皮膚がめくれてジュクジュクしている。
これらは単なる乾燥ではなく、化学物質による「接触性皮膚炎」や、アレルギー反応の可能性があります。医師に「プールに行ったこと」を正確に伝え、適切な外用薬(ステロイド剤など)を処方してもらうのが完治への近道です。
健やかな肌で水泳を楽しむために
プールの塩素は、水を清潔に保つためにどうしても必要なものです。大切なのは、塩素を敵視するのではなく、その特性を理解して賢く付き合うこと。
「入る前に真水で満たす」「上がったらビタミンCで中和する」「間髪入れずに保湿する」。この3つのステップを習慣にするだけで、あなたの肌はぐっと楽になるはずです。
水泳は全身運動であり、メンタルヘルスにも非常に良い素晴らしいスポーツです。正しい知識を持って、肌トラブルに振り回されることなく、軽やかな心と体を手に入れましょう。
プールの塩素で肌荒れ・乾燥する原因は?水泳前後の正しいスキンケア対策を徹底解説。この知識が、あなたの豊かなスイミングライフの一助となれば幸いです。

コメント