「最近、肌の乾燥がひどくて粉を吹いている」「マスクの刺激で肌荒れが治らない」そんな悩みを抱えているとき、SNSや口コミでよく目にするのが「ヘパリン類似物質」という言葉ですよね。
「ヒルドイドと同じ成分が市販でも買える!」「保湿力が最強!」といった声を聞いて、実際に手に取ってみた方も多いのではないでしょうか。しかし、中には「塗ってみたけれど、なんだか肌に合わない気がする」「逆に赤くなってしまった」という声も少なくありません。
実は、ヘパリン類似物質は非常に優れた成分ですが、肌の状態や使い方によっては「逆効果」に感じてしまう落とし穴があるんです。
今回は、肌荒れに悩むあなたがヘパリン類似物質を正しく使いこなし、健やかな肌を取り戻すためのポイントを、専門的な視点からわかりやすく紐解いていきます。
そもそも「ヘパリン類似物質」ってどんな成分?
まずは敵(?)を知るところから始めましょう。ヘパリン類似物質とは、人間の体内にある「ヘパリン」という物質に似せて作られた成分です。
最大の特徴は、単なる「表面の保湿」にとどまらない多機能さにあります。大きく分けて3つの強力なパワーを持っています。
1. 圧倒的な「保湿・保水」パワー
一般的な保湿剤が肌の表面に膜を張って水分の蒸発を防ぐのに対し、ヘパリン類似物質は角質層の深くまで浸透します。そして、細胞と細胞の間で水分をギュッと抱え込む働きをします。肌のバリア機能そのものを内側からサポートしてくれる、いわば「肌の土台作り」のスペシャリストなのです。
2. めぐりを良くする「血行促進」パワー
血行を良くして、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促す働きがあります。これにより、ダメージを受けた肌の修復を早めたり、しもやけや打ち身のあとの血行改善にも使われたりします。
3. 炎症を鎮める「抗炎症」パワー
荒れて赤みを持った肌の炎症を抑える働きがあります。この3つの相乗効果によって、乾燥による肌荒れを根本から立て直していくのが、この成分の正体です。
肌荒れにヘパリン類似物質が「逆効果」と言われる理由
「こんなに優秀な成分なのに、なぜ逆効果になるの?」と疑問に思いますよね。実は、その「血行促進パワー」や「浸透力」が、特定の状況下では裏目に出てしまうことがあるのです。
出血している傷口には絶対NG
ヘパリン類似物質には、血液が固まるのを抑える作用があります。そのため、ひっかき傷やひび割れ、あかぎれなどで「今まさに血が出ている」という場所に塗るのは厳禁です。血が止まりにくくなってしまう恐れがあるからです。傷がしっかり塞がってから使うのが鉄則です。
炎症がひどすぎる時期のピリピリ感
肌が真っ赤に腫れていたり、ジュクジュクしていたりするほど炎症がひどいとき、血行促進作用が働くと、かえって痛みや痒みが増してしまうことがあります。また、バリア機能が壊れすぎている状態だと、成分が入り込みすぎて刺激(ピリピリ感)を感じることも。
「良かれと思って塗ったのに、余計に赤くなった」という場合は、一旦使用を中止して、まずはワセリンなどの刺激の少ない保護剤で肌を落ち着かせるのが先決です。
ニキビの状態によっては悪化することも
「ヘパリン類似物質はニキビに効く」という噂もありますが、これには注意が必要です。乾燥が原因の「大人ニキビ」には有効な場合がありますが、油分の多いクリームタイプを脂性肌の人が使うと、毛穴を塞いでアクネ菌を繁殖させてしまう可能性があります。自分の肌質と、製品の「剤形(タイプ)」が合っているかを見極める必要があります。
失敗しない!自分に合った市販薬の選び方
ドラッグストアに行くと、驚くほどたくさんのヘパリン類似物質配合製品が並んでいますよね。どれを選べばいいか迷ったら、まずは「剤形(形)」に注目しましょう。
ガサガサがひどいなら「軟膏・クリーム」
ヒルマイルド 軟膏のようなタイプは、油分が多く保護力が非常に高いのが特徴です。水仕事で荒れた手や、粉を吹くほど乾燥した脛(すね)などに向いています。少しベタつきはありますが、その分しっかりと肌に蓋をしてくれます。
顔や広い範囲には「ローション(乳液状)」
HPローションなどの乳液タイプは、伸びが良くベタつきにくいのがメリットです。顔全体や、お風呂上がりの体にさっと塗るのに適しています。日常使いに最も万能なタイプと言えるでしょう。
夏場や脂性肌さんには「ローション(水状)」
アドライズ アクティブローション(医薬部外品)のように、さらっとしたお水のようなタイプもあります。ベタつきが苦手な方や、ニキビが気になるけれど保湿はしたいという方におすすめです。
摩擦を避けたいなら「泡(フォーム)」
ヘパリン類似物質 泡状スプレーのようなフォームタイプは、手で擦らなくてもスッと肌に馴染みます。敏感になっている肌に摩擦を与えたくないときや、お子さんにパパッと塗りたいときに非常に便利です。
効果を最大化する!正しい塗り方のコツ
せっかく良い薬を選んでも、塗り方が間違っているともったいない!効果を最大限に引き出すための「黄金ルール」をお伝えします。
「お風呂上がり5分以内」が勝負
肌が水分をたっぷり含み、角質が柔らかくなっている入浴直後が、最も浸透しやすいタイミングです。タオルで優しく水分を拭き取ったら、すぐに塗りましょう。
塗る量は「ティッシュがくっつく」くらい
多くの人が、塗る量が少なすぎると言われています。目安は、塗ったあとにティッシュを乗せるとペタッと貼り付くくらい。指の第一関節分(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積を塗るのが理想的です。
擦らず、キメに沿って伸ばす
「浸透しろー!」とゴシゴシ擦り込むのは逆効果。肌のキメ(溝)は横方向に走っていることが多いので、手のひらで優しく、横方向にスーッと伸ばすイメージで塗り広げてください。
処方薬と市販薬、何が違うの?
皮膚科で処方される「ヒルドイド」と、市販の「ヘパリン類似物質配合薬」。実は、メインとなる有効成分の濃度はどちらも「0.3%」で同じであることがほとんどです。
では何が違うのかというと、それは「基剤(ベースとなる成分)」です。
処方薬は治療を目的としているため、非常にシンプルな構成になっています。一方で市販薬は、使い心地を良くするための成分が含まれていたり、逆にアレルギーを引き起こしにくい処方にこだわっていたりと、メーカーごとに工夫が凝らされています。
最近では、2024年10月から「選定療養」という制度が始まり、医療上の必要性がないのに先発品のヒルドイドを希望すると、窓口での支払いが高くなる仕組みが導入されました。これを機に、自分に合った市販薬を賢く選ぶ習慣をつけるのは、とても賢明な選択と言えます。
肌荒れにヘパリン類似物質を正しく使って健やかな肌へ
ヘパリン類似物質は、正しく使えばこれほど心強い味方はありません。単なる保湿を超えて、肌のバリア機能を再生し、自ら潤う力をサポートしてくれる素晴らしい成分です。
もし今、あなたが「何を使っても肌がカサつく」「乾燥による赤みが気になる」と悩んでいるなら、一度適切な剤形のヘパリン類似物質を試してみてください。
ただし、以下のチェックリストに当てはまる場合は、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。
- 塗ると明らかに赤みや痒みが強くなる。
- 1〜2週間使い続けても全く改善が見られない。
- じゅくじゅくと浸出液が出ている。
- 強い痛みがある。
自分の肌の状態をよく観察し、適切なタイミングで適切なケアを取り入れること。それが、肌荒れスパイラルから抜け出す最短ルートです。
あなたの肌が、ヘパリン類似物質の力を借りて、本来の輝きと柔らかさを取り戻せるよう応援しています!

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