「最近、体がだるいし、なんだか疲れが取れない……」
「芸能人がSNSでやっている『血液クレンジング』って、デトックス効果があって体にいいのかな?」
そんなふうに思って、この記事に辿り着いた方も多いのではないでしょうか。どす黒い血液が、オゾンと混ざった瞬間に鮮やかな赤色に変わる。そのビジュアル的なインパクトは確かに強烈で、いかにも「体の中が綺麗になった!」という実感を与えてくれそうですよね。
でも、ちょっと待ってください。美容や健康のために良かれと思って選んだその施術が、実はあなたの体に深刻なダメージを与える可能性があるとしたらどうでしょうか。
今回は、巷で話題の血液クレンジングについて、気になる副作用やリスク、そして医学的な視点から見た「真実」を徹底的に深掘りしていきます。後悔しない選択をするために、ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも血液クレンジング(オゾン療法)とは何なのか
血液クレンジングは、正式には「大量自家血オゾン療法」と呼ばれます。
その手順はシンプルです。まず、患者さんの腕から100mlから200mlほどの血液を専用の容器に採り出します。そこに医療用オゾンガスを注入して混ぜ合わせ、反応させた後の血液を再び点滴で体内に戻す、というものです。
クリニックの広告などでは、「血液を酸化させることで、体内の抗酸化力を高める」「免疫が活性化する」「ドロドロ血がサラサラになる」といった魅力的なフレーズが並びます。しかし、ここで知っておかなければならないのは、この治療法は厚生労働省が効果を認めた「標準治療」ではなく、あくまで自由診療、つまり自己責任のもとで行われる医療だということです。
「みんながやっているから安全」というわけではないのが、医療の難しいところ。まずはその仕組みの裏側にあるリスクに目を向けてみましょう。
血液クレンジングで報告されている重篤な副作用
「副作用はほとんどありません」と説明を受けることも多いこの施術ですが、国内外の医療現場では、無視できない重篤な症例が報告されています。どのようなリスクが潜んでいるのか、具体的に見ていきましょう。
空気塞栓(ガス塞栓)という命に関わるミス
血液を一度外に出して戻すという工程がある以上、最も恐ろしいのは「空気」や「ガス」が血管内に入り込んでしまうことです。もし大きな気泡が血管を塞いでしまったらどうなるでしょうか。
それが脳の血管なら脳梗塞、心臓なら心筋梗塞、肺なら肺塞栓症を引き起こします。これらは命を落としたり、重大な後遺症を残したりするリスクがある非常に危険な状態です。手技に慣れていないスタッフが担当したり、機器の操作ミスがあったりすれば、誰にでも起こりうる事故なのです。
感染症への懸念
血液を体外に取り出し、再び戻すという行為は、常に感染のリスクを伴います。医療現場では徹底した衛生管理が求められますが、もし使用する器具の消毒が不十分だったり、操作中に雑菌が混入したりすれば、敗血症などの深刻な全身感染症を招く恐れがあります。
また、同じ器具の使い回しなどは論外ですが、不適切な管理が行われている施設では、B型・C型肝炎やHIVといった血液媒介感染症のリスクも完全には否定できません。
脳へのダメージ(オゾン誘発性脳症)
近年、施術直後に意識を失ったり、全身の痙攣(けいれん)を起こしたりする事例が学会などで報告されています。これは、注入されたオゾンや酸化反応によって生じた物質が、脳の血管や神経に何らかの悪影響を与えた結果と考えられています。若くて健康な人が、美容目的の施術で突然倒れてしまうケースもあるため、非常に慎重な判断が必要です。
体質によっては致命的になる「禁忌」の存在
副作用以前に、「絶対にこの施術を受けてはいけない人」がいます。特に注意が必要なのが、特定の遺伝的体質を持つ方です。
G6PD欠損症の方は特に危険
私たちの赤血球には「G6PD」という、酸化ストレスから細胞を守る酵素があります。生まれつきこの酵素が不足している方が血液クレンジングを受けると、オゾンの強い酸化力によって赤血球が次々と破壊される「溶血」が起こります。
溶血が起きると、急激な貧血や腎不全を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。誠実なクリニックであれば、施術前に必ずこの「G6PD活性」を調べる血液検査を行いますが、その検査を省略したり、説明を怠ったりする場所での施術は絶対に避けるべきです。
甲状腺機能亢進症や妊婦の方
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)がある場合、オゾンによる刺激が症状を悪化させる懸念があります。また、妊娠中や授乳中の方についても、母体や胎児への安全性が科学的に証明されているわけではありません。大切な時期に、あえてリスクのある自由診療を受けるメリットはないと言えるでしょう。
なぜ「効果がある」と感じてしまうのか
一方で、「実際に受けてみて体が軽くなった」「肌の調子が良くなった」という声があるのも事実です。なぜ、医学的な根拠が乏しいと言われながらも、こうした感想が生まれるのでしょうか。
一つは、プラセボ効果(思い込みの効果)です。「高いお金を払って特別な治療を受けた」という心理的な満足感が、一時的に体調を良く感じさせることがあります。
もう一つは、100mlから200mlの血液を「温めて戻す」という行為そのものの影響です。血液を体外で処理する際に、血液の温度がわずかに変化したり、水分補給としての点滴効果が現れたりすることで、一時的に血流が良くなったように感じる場合があります。しかし、それは「オゾン」による効果というより、単なる物理的な刺激や点滴の作用である可能性が高いのです。
科学的根拠(エビデンス)から見た冷ややかな現実
実は、血液クレンジングの有効性について、世界中の公的機関は非常に厳しい見解を示しています。
アメリカのFDA(食品医薬品局)は、かなり以前から「オゾンは毒性のあるガスであり、医療において安全かつ有効であるという証拠はない」という声明を出しています。日本においても、日本医学会などの主要な学会が推奨している治療ではありません。
「がんが治る」「万病に効く」といった宣伝を目にすることもありますが、それらを裏付ける質の高い臨床データ(誰がやっても同じ結果が出るという証明)は存在しません。もし本当にそれほどの効果があるのなら、とっくに保険適用になり、世界中の病院で標準的に行われているはずですよね。
高額な費用を支払って、有効性が不透明な治療を受ける。その裏側には、常に深刻な健康被害のリスクが隣り合わせであることを忘れてはいけません。
私たちが健康のために本当に選ぶべきこと
もし、あなたが「疲れを取りたい」「若々しくいたい」と願うなら、リスクのある血液クレンジングに頼る前に、もっと確実で安全な方法がたくさんあります。
- 十分な睡眠時間を確保し、脳と体を休める。
- 栄養バランスの取れた食事を心がける。
- ウォーキングなどの適度な運動で血流を促す。
- 信頼できる医療機関で定期的な健康診断を受ける。
これらは派手な宣伝文句こそありませんが、科学的にその効果が証明されている「最強の健康法」です。もし特定の不調があるのなら、まずは保険診療を受けられる一般の内科や専門医に相談するのが一番の近道です。
血流を改善する習慣などの書籍で、正しい知識を身につけるのも良いでしょう。自分の体を守れるのは、他の誰でもない、正しい情報を選び取ることができるあなた自身だけなのです。
まとめ:血液クレンジングの副作用とリスクを正しく理解して
ここまでお伝えしてきた通り、血液クレンジングは決して「お手軽で安全な美容法」ではありません。
「血液クレンジングの副作用」という言葉の裏には、空気塞栓による命の危険、遺伝的体質による重篤な溶血、そして科学的な根拠のなさが隠されています。SNSやキラキラした広告の表面的な言葉だけを信じてしまうのは、あまりにもリスクが大きすぎます。
もし、周囲でこの施術を検討している大切な人がいたら、ぜひこの記事で紹介したようなリスクについても共有してあげてください。一時の「良くなった気がする」という感覚のために、一生に関わる健康を損なうことがないよう、冷静な判断を心がけたいものです。
健康への近道に魔法はありません。地道ですが、安全で確実な方法を選んでいくことが、結果としてあなたを最も輝かせてくれるはずです。
最後に改めて強調します。血液クレンジングの副作用とリスク|科学的根拠から判明した重大な危険性と真実をしっかりと受け止め、自分の体にとって本当に価値のある選択をしてくださいね。

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