「顔がテカるのに、皮がむけるほどカサつく」
「油分はマラセチア菌の餌になると聞いて、乳液を塗るのが怖い」
「でも、塗らないと肌が突っ張って痛い……」
そんなジレンマを抱えているあなたへ。実は、脂漏性皮膚炎だからといって保湿を諦める必要はありません。むしろ、正しく乳液を選び、適切な方法でケアをすることが、健やかな肌を取り戻すための近道になります。
今回は、脂漏性皮膚炎の方が乳液を選ぶ際のポイントや、悪化させないための具体的な保湿ケアについて、専門的な視点を交えながら分かりやすく解説していきます。
脂漏性皮膚炎でも乳液は必要?選び方のコツと正しく保湿するおすすめケアを解説!
結論からお伝えすると、脂漏性皮膚炎であっても、多くの場合「適切な保湿」は必要です。
なぜなら、脂漏性皮膚炎が起きている肌は、バリア機能が著しく低下しているからです。肌の表面がテカテカしていても、内側の水分が不足している「インナードライ」の状態にあることが多く、この乾燥を放置すると肌は「もっと脂を出して守らなきゃ!」と勘違いし、余計に皮脂分泌を促してしまうという悪循環に陥ります。
ただし、一般的な乳液を適当に選んでしまうのは危険です。脂漏性皮膚炎の原因の一つとされる「マラセチア菌」は、特定の油分を食べて増殖する性質があるからです。
まずは、なぜ保湿が必要なのか、そのメカニズムを正しく理解することから始めましょう。
脂漏性皮膚炎の肌で起きている「バリア機能の崩壊」
脂漏性皮膚炎は、皮脂の過剰分泌や、肌に常駐しているマラセチア菌というカビ(真菌)が関係して炎症が起きる疾患です。炎症が起きると、肌の角質細胞が未熟なまま剥がれ落ちてしまい、本来肌を守るべき「バリア機能」がボロボロになります。
バリア機能が壊れた肌は、スカスカの屋根のようなものです。隙間からどんどん水分が逃げていき、外部からの刺激(摩擦、紫外線、細菌など)をダイレクトに受けてしまいます。この状態を立て直すには、乳液などの保湿剤で「仮の屋根」を作ってあげることが不可欠なのです。
「油分=悪」ではない。避けるべきは特定の脂肪酸
よく「脂漏性皮膚炎に油分は厳禁」と言われますが、これは正確ではありません。マラセチア菌が好んで食べるのは、主に炭素の鎖が特定の長さ(C11〜C24)を持つ脂肪酸です。
例えば、オリーブオイルや椿油といった天然油脂には、これらの成分が多く含まれているため、脂漏性皮膚炎の部位に塗ると症状を悪化させるリスクが高まります。一方で、ワセリンやスクワランといった成分は、マラセチア菌に利用されにくいことが知られています。
つまり、「乳液を塗るか塗らないか」ではなく、「どんな成分の乳液を選ぶか」が運命の分かれ道になるのです。
脂漏性皮膚炎の方が乳液を選ぶための3つの基準
失敗しない乳液選びのために、必ずチェックしてほしいポイントを3つにまとめました。
1. 「オイルフリー」または「低刺激な油分」を選ぶ
最も安全な選択肢は、油分を一切含まない「オイルフリー」の保湿ジェルや乳液です。水溶性の保湿成分のみで構成されていれば、菌の繁殖を助ける心配がありません。
どうしても油分がないと乾燥が気になる場合は、マラセチア菌の餌になりにくいサンホワイトのような高精製ワセリンや、スクワランが主体のものを選びましょう。
2. 「ヒト型セラミド」配合のものを選ぶ
脂漏性皮膚炎の肌に最も足りていないのは、角質層の潤いをつなぎとめる「セラミド」です。特に、人間の肌の構造に近い「ヒト型セラミド」を配合した乳液は、肌への親和性が高く、弱ったバリア機能をサポートしてくれます。
成分表示に「セラミドNP」「セラミドAP」「セラミドNG」などと記載されているものを探してみてください。これらは油分というよりは「細胞間脂質」の代わりとして働くため、ベタつきにくく、しっかり肌を整えてくれます。
3. 抗炎症成分が配合されているか確認する
炎症が起きているときは、それ以上悪化させないための成分が含まれていると心強いです。
- グリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)
- アラントイン
これらの成分は、肌の荒れを鎮めるサポートをしてくれます。医薬部外品(薬用)の乳液にはこれらが含まれていることが多いので、パッケージの裏をチェックしてみてください。
実践!脂漏性皮膚炎を悪化させない正しい保湿ステップ
良い乳液を選んでも、使い方が間違っていると効果は半減してしまいます。肌への刺激を最小限に抑えるためのルーティンを確認しましょう。
手順1:優しく、かつしっかり洗顔する
まずは余分な皮脂と、酸化した古い油分を落とすことが先決です。石鹸や洗顔料をしっかり泡立て、手でこすらずに「泡を転がす」ように洗います。コラージュフルフルのような抗真菌成分入りの洗顔料を使うのも一つの手ですが、脱脂力が強すぎると感じる場合は、敏感肌用のマイルドなものを選びましょう。
手順2:化粧水でたっぷり保水する
乳液の前に、まずは水溶性の潤いを与えます。アルコール(エタノール)が多量に入っているものは、揮発する際に肌の水分を奪い、刺激になることがあるので避けるのが無難です。
手順3:乳液は「部位によって量を調節」する
ここが最も重要なポイントです。脂漏性皮膚炎の方は、顔全体を一律に保湿してはいけません。
- Tゾーン(おでこ、鼻周辺): 皮脂が多い場所。乳液はごく薄く、あるいは乾燥を感じなければ塗らなくても構いません。
- Uゾーン(頬、口周り): カサつきやすい場所。ここは乳液を丁寧になじませます。
- 生え際・耳の周り: 脂漏性皮膚炎が出やすい場所ですが、髪の毛の油分も付着しやすいため、薄く保護する程度に留めます。
手順4:ハンドプレスでなじませる
塗るときに指を滑らせて「こする」のは厳禁。手のひらに乳液を広げ、肌を優しく包み込むようにハンドプレスして浸透させましょう。
脂漏性皮膚炎におすすめのスキンケア製品タイプ
「具体的に何を使えばいいの?」という方に向けて、相性の良い製品のタイプをご紹介します。
臨床皮膚医学に基づいたブランド
ノブなどのブランドは、皮膚科でも紹介されることが多く、刺激を極限まで抑えた設計になっています。特に「アクネケア」ラインの乳液は、油分を抑えつつ保湿するように作られているため、脂漏性皮膚炎の肌とも相性が良いことが多いです。
オイルフリーの保湿ジェル
「どうしても乳液のベタつきが怖い」という方は、乳液という名称ではなく「保湿ジェル」や「オールインワンジェル」の中から、オイルフリーのものを選んでみてください。さっぱりとした使用感で、水分だけを補給できます。
高精製ワセリン
肌の乾燥がひどく、何を塗ってもヒリヒリするという緊急事態には、イハダのバームのような、高精製ワセリンを主成分とした保護剤が役立ちます。ワセリンは肌に浸透せず、表面に膜を張るだけなので、菌の餌になりにくく、外部刺激を強力にブロックしてくれます。
生活習慣で内側からも脂漏性皮膚炎をケアしよう
乳液による外側からのケアと並行して、内側からのケアも忘れてはいけません。皮脂の質を整えることが、結果として乳液の馴染みを良くし、肌の安定につながります。
- ビタミンB2・B6を積極的に摂る: 皮脂の代謝を助ける成分です。レバー、納豆、卵、カツオなどを意識して食べましょう。
- 十分な睡眠: 肌のターンオーバーは寝ている間に進みます。睡眠不足はバリア機能を一気に低下させます。
- 甘いもの・油ものを控える: 糖質や脂質の摂りすぎは、ダイレクトに皮脂分泌を増やします。
また、枕カバーを毎日取り替えるなど、肌に触れるものを清潔に保つことも、マラセチア菌の増殖を抑える上で非常に重要です。
まとめ:脂漏性皮膚炎でも乳液は必要?選び方のコツと正しく保湿するおすすめケアを解説!
脂漏性皮膚炎と向き合う上で、乳液は「敵」ではなく、正しく選べば心強い「味方」になります。
大切なのは、「油分が多いから保湿しない」という極端な考えを捨て、**「マラセチア菌の餌になりにくい成分で、壊れたバリア機能を補強する」**という視点を持つことです。
自分に合った乳液を見つけ、部位ごとに塗る量を調整する賢いケアを身につければ、あの不快なカサつきや赤み、ベタつきも少しずつ落ち着いていくはずです。
もし、セルフケアを続けても赤みや痒みが強い場合は、無理をせず早めに皮膚科を受診してくださいね。お薬と適切な保湿ケアを併用することで、より早くクリアな肌を取り戻すことができます。
この記事を参考に、あなたの肌が一日も早く穏やかになることを願っています。

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